吉本隆明さん。
こういう言い方が誰にどう受け止められるかわからないけど、
敬愛していた方の訃報に接するたび、思う。
もし、あの方と一緒に本をつくる機会に恵まれていたらどうだっただろう、と。
そしてどうして自分は一緒に本をつくれなかったのだろう、と。
ずいぶん久しぶりに詩集を開いた。
そこには、こんな言葉があった。
『わたしの本はすぐに終る』と題された詩の、冒頭に。
顔もわからない読者よ
わたしの本はすぐに終る
本を出たら
まっすぐ路があるはずだ
これからぼくがつくる本の先には、
どんな路があるのだろう。
そして誰が、その路を歩いてくれるのだろう。
時間はない。
はやく、その路をつくりたい。