5坪の本屋さん。

2つ前のエントリで企画の立て方、みたいな話をしました。

今回はもっと本質的な話をしたいと思います。

 

売れる本・売りたい本をつくるとき、

編集者やライターはどんな要素を考えるのか?

たぶん、以下のようなところでしょう。

 

・テーマや内容

・著者の力

・市場動向

・世の中の動き

・ジャンルの市場規模

・本としての賞味期限

 

このへんを勘案しながら

「うまくいけば10万部に育つぞ」とか、

「一般受けはしなくても細く長く売れるぞ」とか、

「ひょっとしたらミリオン?」とか、

そんな無責任な夢想をするのが企画段階の楽しさなのだと思います。

 

ただ、こういう半端なマーケティング思考はもうやめて、

ちょっと別の発想ができないものでしょうか。

 

 

ぼくが最近考えるのは「5坪の本屋さん」です。

むかしから駅前にある個人商店の本屋さんでもいい。

空港に入ってる小さな本屋さんでもいい。

ちょっとオシャレな、セレクトショップぽい本屋さんでもいい。

とにかくこぢんまりとした、5坪程度の本屋さんをイメージする。

 

本屋さんが「本屋さんとしての機能」を果たすためには、

自分が好きな本を並べるだけではいけません。

文芸からノンフィクション、文庫や新書、雑誌、マンガ、

さらには辞書に参考書まで、幅広い品揃えが必要です。

 

5坪のお店となれば、各ジャンルの古典から新刊までを

相当に厳選し尽くした、代替不能な本だけが並ぶようになるでしょう。

 

 

さて、ここで考えます。

 

 

いま自分がつくろうとしている本は、

はたして「5坪の本屋さん」にも置かれるべき本なのか、と。

 

 

世の中が必要としてるとか、

時代が必要としているとか、

あのへんの読者層が必要としているとか、そんな話じゃありません。

 

むしろ「5坪の本屋さん」がその本を必要としているか、と考えるのです。

判断基準は売れる・売れないではなく、

その本を仕入れることで、書店としての価値や機能が高まるかどうか。

書店というジグソーパズルのピースを、埋めていくことができるか。

 

 

うまく言葉にするのは難しいのですが、

最近はそんなことを考えながら、次の企画を練りねりしています。

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