働くこととは「借金」である。

働くこと、それは「借金」である。

 

学校を卒業して働きはじめるとき、

ぼくたちは大きな大きな借金を抱えることになる。

誰に借りるのかわからない。

いくら借りたのかもわからない。

 

借金するとぼくたちは、たくさんのものを手に入れる。

 

社会的な信用、

ちっぽけな自尊心、

いくつかの居場所、

着るもの、食うもの、住むところ、

そしてたしかな達成感、

あるいは家族。

 

限度額はいっさいなし。

借りようと思えばいくらでも借りられるし、

ここで買えないものなんて、ない。

 

さて。

ぼくは、あなたは、あのひとは、

労働のATMからいくら引き出して、

なにを買おうとするのだろう。

何年かけて返済しようとするのだろう。

 

そして借金を完済したとき、

手元になにが残っているのだろう。

 

なんだか最近、そんなことばかり考えている。

 

 

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