支持率と愛嬌。

むかし、小泉今日子さんのヒットソングに『100%男女交際』という歌がありました。

そこにはこんな歌詞があります。

 

 

♪ オンナは度胸 オトコは愛嬌

 

 

まったくそのとおりだなあ、と思うのは政治家の支持率です。

 

2006年に当時の小泉総理が退任して以降、

安倍、福田、麻生、鳩山、菅、そして現在の野田さんまで、

6年間で6人の総理大臣が交代しています。

小泉政権が5年半だったわけですから、その差は歴然としています。

いったい小泉さんにあって、その後の総理になかったものはなんなのか。

どうして小泉さんだけが高支持率を保ったまま長期政権を樹立できたのか。

 

その答えは「愛嬌」なんじゃないかと思うわけです。

 

 

どういうことか、一人ひとり振り返っていきましょう。

まず小泉政権のあとを受け、保守のプリンスとして始動した安倍さん。

郵政選挙で獲得した圧倒的な議席数もあり、また保守系論壇からの受けもよく、

憲法改正を見据えるくらいの本格政権をめざしていたのだと思います。

ところがお人好しなのか、人を見る目がなかったのか、

政権内部にいたのはナントカ還元水とか絆創膏とかの大臣ばかりで、

メディアに突っ込まれる隙がありすぎるノーガード内閣でもありました。

退陣した直接の理由はご病気でしたが、

直前の参院選で大敗北を喫して衆参のねじれを招いていたわけで、

仮に健康であっても遠からぬ将来に総辞職に追い込まれていたでしょう。

自他ともに認める保守のプリンスだったこともあり、

さほど愛嬌のある人ではありませんでした。

 

続いて福田さんですが、

彼は淡々と職務をこなす実務家のようでありながら、

その発言や立ち居振る舞いから並々ならぬプライドの高さがうかがえる、

愛嬌とは程遠い人でした。

 

そして愛嬌の切り札的存在だった麻生さん。

この人も外務大臣時代くらいまでは、べらんめえ調でジョークを飛ばし、

しかも「自由と繁栄の弧」に要約される価値観外交を掲げるなど、

国民の期待も高かったと思うのですが、

なぜか総理になった途端、べらんめえ調がお代官口調、またはお奉行口調になり、

なんの愛嬌もない尊大な為政者になってしまいました。

メディアに嫌われバッシングの対象となった理由の一端も、

あの尊大さにあるのではないでしょうか。

ご本人は宰相としての威厳を出そうとしたのでしょうが。

 

そんな麻生さんを衆院選で打ち負かし、政権交代を実現した鳩山さん。

この人はもう、愛嬌とかなんとかというレベルではなかったですね。

コミュニケーションそのものが成立しなかった気がします。

 

続く菅さんは、明らかに力みすぎていました。

特に経済に暗いことへのコンプレックスがひどく、

いつもピリピリしていて愛嬌を振りまく余裕を失っていました。

 

それで現在の野田さん。

正直、ぼくはこの人がよくわかりません。

ただ、愚直な姿勢をアピールしようとする姿はあまり好きではないし、

愚直さから愛嬌は生まれにくいように思います。

愛嬌には楽観性が必要ですからね。

 

 

一方、小泉さんにはいろいろ危なっかしい面もありながら、

それを補って余りある愛嬌があったのだと思います。

なんてったって「純ちゃん」ですから。

 

で、昨今高い支持率を誇っている知事さんや市長さんも、

なんだかんだいって「愛嬌」の部分で支持されてるところは大きい気がします。

県知事時代に宮崎のセールスマンを名乗ってた東国原さんとか、

まさにそうですよね。

 

残念なことに日本の政治家の支持率は、愛嬌で決まる。

そしてたぶん、

ぼくら一般人も「どれだけ愛嬌があるか」が人間関係を大きく左右する。

特にフリーランスの人間が仕事をとってくる上においては。

 

♪ オンナは度胸 オトコは愛嬌、なのです。

 

 

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